新型炉(流動層炉)

新聞に紹介されました
  
(記事全文)
「車部品、1時間で熱処理」
砂の熱伝導で10分の1に短縮 車体軽量化で需要高く
 工業炉製造開発の浜松ヒートテック(浜松市、綿貫雅敏社長)は二輪、四輪車部品の熱処理を高速でできる炉を開発した。炉内の砂の粒子を通じて熱が伝導するタイプで、小型の炉を複数備えて処理効率を上げた。熱風で加熱する従来の方法に比べ、処理時間を10分の1程度に短縮できる。車体軽量化で熱処理の需要が高まっており、2014年6月期中の販売をめざす。

 熱処理はアルミ合金などの鋳造部品を成型した後、強度を上げるために行なわれる。温度の違いにより「焼き入れ」と「焼きなまし」と2工程に分かれる。セ氏200〜550度の機械の中を部品が移動する間に加熱する方法が主流で、計10時間程度かかる。
 同社は直径100〜200マイクロ(マイクロは100万分の1)メートルのセラミック粒子が詰まった1辺約1メートルの立方体の炉を複数用意。専用の搬送装置で鋳造部品を容器ごと砂の中に入れて一定時間焼き入れ、次に別の炉の移動させて焼きなましをする。砂を通して素早く部品の温度が上がるため、1時間前後で従来の処理と同等の強度が得られる。
 砂を詰めた炉の中で空気を送り込みながら加熱する方法は「流動層炉」と呼ばれ、大型機械の単品部品などの熱処理で利用されている。点数が多く搬送装置が必要な部品向けは、装置が熱や砂の影響を受けて故障しやすく、実用化できていなかった。同社は小型の炉を用意し、炉外で搬送装置を動かすことで熱と砂の影響を除いた。
 自動車業界ではメーカー間の燃費競争が激しく車体の軽量化が求められている。従来熱処理が必要なかった部品でも、軽くするために厚みを抑えて、熱処理で強度を上げる例が増えている。
 同社の流動層炉では小ロットや小型部品でも効率良く熱処理できる。処理時間の短縮によって在庫減少やコスト削減につながるという。装置も含めた価格は4千万円前後になる見込み。全国の自動車部品メーカーなどに売り込む。
(日本経済新聞 2013年8月20日掲載)
  
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